ブルーベリー・ジャム!!!!!!~飯島真理と坂本龍一の出会いが生んだ1983年の奇跡
衝撃だった。
田舎育ちの中学生にとって、ジャムと言えばイチゴかせいぜいリンゴで、ブルーベリーなんて、食べたことはもちろん、見たこともなかった。
Blueberry Jam(作詞・作曲:飯島真理 編曲:坂本龍一)
1983年9月21日に発売された飯島真理の1stアルバム『ロゼ』の1曲目に収録されている。
「むすんだ手のひら 中にかくれてたのは 言葉を超えて 愛を伝える ビン詰めにされた ムラサキ色の夢」
飯島真理はその前年にTVアニメ『超時空要塞マクロス』のヒロイン(歌姫)リン・ミンメイ役として、声優として世に登場していた。親友の薦めでアニメは観ていたが、特段にミンメイのファンというわけでもなく、アルバム『ロゼ』もその友人宅で<LPレコードで>耳にした。
「It’s blueberry jam, it’s blueberry jam あなたに手渡した時に Blueberry jam, it’s blueberry jam 触れた指先 頬に押しあてる」
サビで一気に弾ける衝撃的な曲調とサウンドは今まで聴いたこともない音楽だと感じて新鮮だった。現在言う“シティ・ポップ”の定義をよくわかっていないが、自分にとってのシティ・ポップはこれだ!キラキラした宝石箱のような世界(サウンド)にあこがれた。
このアルバム『ロゼ』をプロデュースしていた坂本龍一が亡くなった。坂本龍一(教授)も当時の自分にとってはどこか遠い世界の存在(YMOの活躍をリアルに聴くには幼過ぎる世代)だったのだが、このアルバムで一気に近づいた。アルバム全体を通じて、飯島真理の才能を引き出す教授のプロデュース力が巧みで、坂本龍一でしかない音像であるにも関わらず、シンガー&ソングライターとしての飯島真理の天才性が存分に感じられる。
「ふかふかで白い 長方形の上に ひろがる夢を あなたがほおばる時 It’s blueberry jam, it’s blueberry jam ムラサキの夜が明けたら Breakfast! Blueberry jam, it’s blueberry jam あふれる想い 届けてくれるの」
もし10年早く生まれていたら、ユーミンの登場に同じ感慨を覚えたのかもしれないが、自分には飯島真理だった。
1983年の音像(リアルサウンド)。アルバム『ロゼ』を聴いて、教授を偲びたい。
(スタッフM)
飯島 真理 | Rose [Deluxe Edition] | ビクターエンタテインメント (jvcmusic.co.jp)