デビュー35周年&歌手活動再開10周年記念アルバムをリリース~シンガー高岡早紀の歩みをふりかえる
アーティスト・コラム

デビュー35周年&歌手活動再開10周年記念アルバムをリリース~シンガー高岡早紀の歩みをふりかえる

1988年4月30日、シングル「真夜中のサブリナ」(「マドラス」テレビCM曲)で歌手デビューし、3年半の間に4枚のオリジナルアルバムと7枚のシングルをリリースした高岡早紀。その後は女優として、舞台、映画、テレビドラマ等で活躍していますが、2013年より音楽活動を再開し、近年はライブ活動も精力的に展開しています。

3年半のアイドル時代は、大半の楽曲の作曲・編曲・プロデュースを加藤和彦(サディスティック・ミカ・バンド他)が担当。アイドルポップスの枠を超えたハイクオリティなサウンドと、独自の詞世界で高い評価を受けましたが、活動再開後は、幼少時から付き合いの深い山下洋輔(ピアノ)等との共演で、ジャズやボサノヴァを歌うアルバムを発表するなど、さらに音楽的な幅を広げています。

1988年当時の高岡早紀は、加藤和彦のプロデュースで、ヨーロピアンなテイストを打ち出していました。80年代のフレンチ・ポップをベースに、ニューウェイヴやエスニックのテイストなどを加えたサウンドに乗せて、彼女の少しウィスパー気味なヴォーカルが聴こえてくるという作風は、アイドル・ファンのみならず、音楽ファンの間でも話題になりましたが、当時のアンニュイな雰囲気は、現在の高岡早紀のサウンドにも継承されています。

2013年に主演映画『モンスター』のエンディング曲としてリリースされ、音楽活動再開のきっかけとなった和製ジャズの名曲「君待てども ~I’m waiting for you~」と、それに続くアルバム『SINGS -Bedtime Stories-』は、幼少期から親交あるピアニスト山下洋輔をゲストに迎え、全編ラブ・バラードを歌ったジャズ・アルバムでした。両親がジャズ喫茶を経営していたという自身のルーツに初めて正面から取り組み、23年ぶりのアルバム・リリースとライブ活動の再開ということでも大きな話題を呼びました。当時、山下は次のようにコメントしています。

■高岡早紀の体にはジャズが染みついている。父親は、横浜馬車道の老舗ジャズ・ライブ・スポット「エアジン」を創設した高岡寛治だ。親友だったので、彼の早逝後、子供達の「おじさん役」を任じて来た。そして、彼女が芸能界にデビューした頃から「ジャズを歌う時はヨースケ・オジチャンが伴奏するからね」と吹き込んでおいたのだ。とうとうそれが実現して、とても嬉しい。役者として鍛えた言葉の表現力が素晴らしく、鈴木禎久氏の洗練されたギターにも、私の少しレトロな伴奏にも、軽々と乗って、歌手高岡早紀は飛翔する。(山下洋輔)

幼少時のルーツであるジャズに取り組み、新たな魅力を開花させた高岡早紀が、SAKI SINGSシリーズ第2弾として、2017年にリリースしたアルバムが『SINGS -Daydream Bossa-』です。ボサノヴァといっても、本格的なリオデジャネイロのスタイルではなく、和製ボッサ。「ラブ・スコール」(『ルパン三世(PART2)』エンディング曲」)、「みずいろの雨」(オリジナル八神純子)などのカバーを含む興味深い内容で、アンニュイかつキュートなヴォーカルが魅力的です。

その後は、ライブ活動の傍ら、7インチレコード(5作品)もリリース。「私の彼氏は200歳」(佐藤博)、「ミッドナイト・ラブ・コール」(南佳孝)といったシティポップにも挑戦し、ジャンルレスに表現の幅を広げています。

その高岡早紀のデビュー35周年、そして、シンガー復帰10周年を記念して、アルバム『DECADE -Sings Cinematic-』が2024年1月にリリースされました。タイトル通り、2013年からの10年(Decade)を集大成したアルバムで、アナログ限定でリリースされた初CD化音源9曲を含む、全15曲を収録しています。35周年記念の新曲「トーキョームーン」(作詞:森雪之丞、作・編曲:小泉P克人)では、歌手デビューした10代の彼女に多くの刺激的な言葉を提供してきた森雪之丞氏が再び作詞を担当。時を経て今の高岡早紀のために書かれた詩がアーバンなシティポップに仕上がっています。『DECADE -Sings Cinematic-』<限定盤>には、「35th Anniversary All Time Video Selections」と題して、これまでに制作されたMVとライブ映像から精選されたDVDが特別に付属。高岡早紀からのメッセージ、歌手活動再開後のディスコグラフィーとレコーディングやライブでの未公開写真も掲載されたブックレット付きの豪華盤です。

■高岡早紀コメント(CDライナーより)

2013年、山下洋輔さんの演奏で「君待てども ~I’m waiting for you~」を発表してから10年。以前には考えられないようなペースでアルバムやレコードを作り、東京では定期的にライブを行って来ました。北海道、名古屋、関西、九州などでフェスやイベントにも呼んでいただき、ファンの皆さまと交流したり、私にとっても楽しい時間です。(女優だけやってると、まず出来ないですから…)

芸能生活35周年のなかの歌手活動再開10周年。ファンの皆さまと、そばにいてくれるスタッフのお陰さまで、ここまで来られました。収録した全ての曲それぞれに思い出があり、とても感慨深い作品になっています。どうか皆さまにも楽しんでいただけますように…