ザ・カーメッツ「カリフォルニア・サーファー」
ディスクレビュー

ザ・カーメッツ「カリフォルニア・サーファー」

2021年から始まった「マスターピース・コレクション~シティポップ名作選」の最新作が先月発売になった。今回は1990~2000年代に発売されたシティポップ作品の再復刻だが、ザ・カーメッツの「カリフォルニア・サーファー」のみが初CD化作品である。まずはこちらの作品を深堀していこう。

 ザ・カーメッツはキャンディーズのシングル「年下の男の子」や「春一番」などでお馴染みの作編曲家 穂口雄右のスタジオ・セッション・プロジェクト。ザ・カーメッツ名義としては、「カリフォルニア・サーファー」(1978年)の前に「モーグ・エレクトリック・サウンズ」(1973年)と「シンセサイザー・エレクトリック・サウンズ」(1974年)と2枚のアルバムをリリースしている。この2作品はムーグなどシンセを使用した外国曲のカヴァーが中心であり、今作「カリフォルニア・サーファー」が本格的なオリジナル・インストゥルメンタル作品と言えよう。昨年8月に、シティポップを海外に広めた立役者の一人であるDJ NOTOYAの配信コンピレーション・アルバム「Tokyo 1980’s Victor Edition Vol.2」に「フライング・ウーマン」が収録され、レアなメロウ・グルーヴとして現在、世界のシティポップ愛好家で話題になっている。

というのも、このアルバムには林立夫、後藤次利、松原正樹、佐藤準、ジェイク・H・コンセプションなど、シティポップ人脈のスタジオ・ミュージシャンが多数参加している。ジャケット写真にはビッグ・ウェイブに乗るサーファーの姿をモチーフに、サマー・リゾート気分満載のアルバムに仕立てている。

1970年代後半は、こういったクロスオーヴァー・サウンドが付加されたイメージ・アルバムが量産された。代表的な作品がCBS/SONY(現ソニーミュージック) “サウンド・イメージ・シリーズ” だろう。「PACIFIC」「NEW YORK」「エーゲ海」「SEASIDE LOVERS」などの作品が制作され、特に「PACIFIC」はYMO前夜の細野晴臣、髙橋幸宏、坂本龍一や大村憲司、山下達郎、鈴木茂、林立夫らが参加し、南太平洋の島々を舞台にした良質なサウンド・コラージュ・アルバムを生み出した。

さて、ザ・カーメッツのアルバムに話を戻そう。あまり知られていない話だが、このアルバムに収録されている2曲は翌年の1979年に発売された“元祖ミスDJ”とも言える大橋照子の「さ・く・ら・ん・ぼ」のアルバムに使用されているのだ。それが、表題曲「カリフォルニア・サーファー」と「シルバームーン・ビーチ」で、大橋の「何かが変わる朝」と「空白の時」にBGMとして使われている。特に、記載もされていないので、どういった経緯で再利用されたのか不明だが、大橋照子の作詩による自身のナレーションは思いのほか穂口の楽曲にマッチしている。この「空白の時」はRYUSENKEIのクニモンド瀧口がセレクトしたコンピレーション・アルバム「CITY MUSIC TOKYO First Suspicion」にもセレクトされているので、是非、聞いて頂きたい。

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