
プレイリスト やなせたかし作詞集
絵本「やさしいライオン」や「アンパンマン」の作者として有名な“やなせたかし”氏。親子で楽しめる温かみのある作品を生み続けた漫画家、絵本作家は、また、優れた詩人でもありました。決して難しい言葉や表現は使わず、子どもから大人まで誰もが楽しめる平易で優しい語り口で綴られた詩は、多くの歌となり愛されています。プレイリスト「やなせたかし作詞集」では、詩人“やなせたかし”の人間味があふれ出る楽曲の数々をご紹介しています。
手のひらを太陽に
歌唱:宮城まり子/ビクター児童合唱団
作詞:やなせたかし 作曲:いずみたく
長年に渡り音楽の教科書に掲載されるなど、お子さまからシニア層まで、多くの人々から愛される、国民的人気曲。“やなせたかし”と親交のあった“いずみたく”が作曲。1962年にNHK「みんなのうた」で宮城まり子 & ビクター児童合唱団が歌唱、1963年に初レコード発売された。宮城まり子はコンサートの構成・演出をやなせに依頼するなど、彼の才能に惚れ込んでいた。
夕やけに拍手
歌唱:シュガーホールジュニアコーラス
作詞:やなせたかし 作曲:若月明人
昭和50年度NHK全国学校音楽コンクール小学校の部課題曲。ラップ(拍手)を巧みに取り入れたリズミカルな合唱曲。作曲はテレビ番組のテーマやCMソング、育児・教育の場で歌われるキッズ・ソングなどを広く手掛ける若月明人。
だれだって一人じゃない
歌唱:いしだあゆみ
作詞:やなせたかし 作曲:いずみたく アマチュア無線を題材にしたTVドラマ「ハローCQ」のテーマソング。1964年に日本科学技術振興財団が設立したテレビ局、東京12チャンネル(現在のテレビ東京)の開局記念作品が「ハローCQ」。制作は岩波映画製作所、監督は羽仁進、大木国夫ほか、助監督に山本晋也、脚本は“やなせたかし”の他、岩間芳樹、大木国夫、清水邦夫、向田邦子らが手掛け、出演は荒木一郎、蜷川幸雄、住田知仁(のちの風間杜夫)ら、音楽をいずみたくが担当した。
ロマンチストの豚
歌唱:大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団/指揮:当間修一
作詞:やなせたかし 作曲:木下牧子
やなせたかし作詞、木下牧子作曲による合唱曲集10のメルヘン「愛する歌」の中の1曲。“やなせたかし”らしさいっぱいのメルヘン作品。貧しいながらも優しく、夢を見て憧れに胸を焦がし、いつも笑い、歌を唄うロマンチストの豚は“やなせ”にとっての理想を反映しているのかもしれない。
海と涙と私と
歌唱:三宅理恵
作詞:やなせたかし 作曲:木下牧子
こちらも10のメルヘン「愛する歌」から。この上なく美しい詩とメロディーが涙を誘う。ただ青いだけの海を見つめる。月夜の海は寂しく、夜明けの海は悲しく、それでもどこか懐かしく、ほっとする。そしてひるまの海では少しだけ涙が乾く。
さびしいカシの木
歌唱:ボニージャックス
作詞:やなせたかし 作曲:西脇久夫
やなせの詩に、ボニージャックスの西脇久夫が曲をつけた。山の上に一本だけ寂しく立つカシの木。「遠くの国へ行きたい」と“雲”に頼んだが雲は流れて消えてしまう。「私と一緒に暮らして」と風に頼んだが風はどこかへ消えてしまう。やなせは幼少の頃に父と死別。その後、母は再婚し、やなせと離れて暮らすようになる。カシの木はやなせ自身、雲は父、風は母だとされる。
しろいうま
歌唱:タテタカコ
作詞:やなせたかし 作曲:タテタカコ
シンガーソングライターのタテタカコによる作曲・歌唱。2008年にバップから発売されたOVA作品「やなせたかしメルヘン劇場」の「しろいうま」の主題歌。「やなせたかしメルヘン劇場」は“やなせたかし”作の絵本を短編アニメ化したもの。「やなせたかしメルヘン劇場」の収録作品は「でかたんみみたんぽんたん」「そっくりのくりのき」「ロボくんとことり」「いねむりおじさん」「ルルン・ナンダーのほし」「ガンバリルおじさんのまめスープ」「ガンバリルおじさんとぎんいろまん」「キラキラ」「タコラのピアノ」「てんしのぐらたん」「わらうぼうし リトル・ボオ」「クシャラひめ」「ごろごろごろたん」「セントバーナードとたびびと アニーとコラ」「しろいうま」「しっぽのうた」「さよならジャンボ」「アリスのさくらんぼ」「ハリーとマルタン アクマのたにのまき」「ハリーとマルタン みずのアクマのまき」「ハリーとマルタン ゴロゴロせんせいのまき」「ほしのこルンダ たんじょう!」「ほしのこルンダ すいしょうやまのひみつ」「ほしのこルンダ くろいほしのナニイ」「かばこさんシリーズ」(「はねつき」「おくちあーん」「やまのぼり」「こいのぼり」「やきゅう」「つなひき」「とびこみ」「くりひろい」「おちば」「かびん」)
雪の街
歌唱:フレーベル少年合唱団
作詞:やなせたかし 作曲:木下牧子
10のメルヘン「愛する歌」の中の1曲。一人称“ぼくら”で語られる雪の情景と少年合唱の声音がよく合っている。しんしんと雪が降る静謐な様子を表現した木下牧子の曲も見事。
ぼくらは仲間
歌唱:八千代少年少女合唱団
作詞:やなせたかし 作曲:鈴木憲夫
平成23年度NHK全国学校音楽コンクール小学校の部課題曲。作曲は合唱曲の大家、鈴木憲夫。春~夏~秋~冬と移ろいゆく季節の中、自然を愛し、仲間と過ごす日々が、4拍子と3拍子を組み合わせた変拍子で詩情豊かに表現されている。
犬が自分のしっぽをみて歌う歌
歌唱:三宅理恵
作詞:やなせたかし 作曲:木下牧子
10のメルヘン「愛する歌」から。うれしい時は勝手に振れて、寂しい時にはしょんぼり垂れてしまう、犬が自分のしっぽについて歌うコミカルなうた。やなせらしいユーモアの感じられる1曲。
ユレル
歌唱:八千代少年少女合唱団
作詞:やなせたかし 作曲:木下牧子
これも10のメルヘン「愛する歌」から。幸せにユレル、悲しみにユレル、想い出にユレル、憧れにユレル、泣きながらユレル、ほほえみにユレル…。心が揺さぶられる様を“ユレル”という言葉で表現。
誰かがちいさなベルをおす
歌唱:三宅理恵
作詞:やなせたかし 作曲:木下牧子
10のメルヘン「愛する歌」より。朝日がのぼる、木がふるえ木の葉が落ちる、夜霧がわいて青い星が出る。何気ない日常の変化に何故という疑問が沸いたのだろうか。ロマンチストやなせの心象風景の中で、誰かが小さなベルを押すことによってそれが起きるとしている。
星の木の下で
歌唱:タテタカコ
作詞:やなせたかし 作曲:ミッシェル・カマ
ミッシャル・カマは、やなせが作曲をす際のペン・ネーム。つまり“やなせたかし”の作詞・作曲。前出の2008年OVA作品「やなせたかしメルヘン劇場」の「しろいうま」の挿入歌。星の木の下で初恋の人と踊る。自由なイマジネーション、夢想家やなせたかしが描く夢の世界。
地球の仲間
歌唱:三宅理恵
作詞:やなせたかし 作曲:木下牧子
やなせたかし作詞、木下牧子作曲による合唱曲集10のメルヘン「愛する歌」から。人間と動物、見た目や言葉は違っても同じ地球の仲間だとする実にやなせらしいメッセージが込められている。
おかあさんの顔
歌唱:ボニージャックス
作詞:やなせやかし 作曲:藤家虹二
1968年12月から翌1969年1月にかけてNHK「みんなのうた」で放送。映像もやなせ自身が手掛けた。“おかあさん”を白い雲のように優しく、青い海のように美しく、遠い山のようになつかしいと表現。
ラッパと少年
ラッパと少年
歌唱:天地総子
作詞:やなせやかし 作曲:寺島尚彦
NHK「みんなのうた」1969年10月~11月放送。誰もいない野原で雲に向かって、風がひどい岬で海に向かって、心に孤独感と悲しみを抱えた少年がラッパを吹き鳴らす。
天使のパンツ
歌唱:むとうかんぺい・りつこ
作詞:やなせたかし 作曲:天井正
NHK「みんなのうた」1977年6月~7月放送。天使がパンツを洗濯し干していたところ、パンツが風に飛ばされる。その後、いちどはクジラの飲まれたが、今では南の海で人魚がそのパンツをはいているといった内容。
勇気のうた
歌唱:西六郷少年少女合唱団
作詞:やなせたかし 作曲:藤家虹二
NHK「みんなのうた」1967年12月放送。作曲はクラリネット奏者としても有名な藤家虹二。追いつめられ、もう最後かと思うときに、勇気がボクに“がんばれ”とささやいたといった内容。やなせ自身の人生経験を反映したメッセージか。
きんいろの太陽がもえる朝に
歌唱:フレーベル少年合唱団
作詞:やなせたかし 作曲:木下牧子
やなせたかし作詞、木下牧子作曲による合唱曲集10のメルヘン「愛する歌」から。きんいろの太陽がもえる朝に、古いしがらみを断ち、期待に胸をふくらませ、たったひとり旅に出る様子が歌われる。そよ風が友だち、くちぶえが友だち、さく花が友だち、といった表現も実に“やなせ”らしい。
美しの丘
歌唱:島崎由理
作詞:やなせたかし 作曲:横山菁児
タツノコプロ制作、NET(現・テレビ朝日)系列放映アニメ「昆虫物語 新みなしごハッチ」のエンディング・テーマ。前作「昆虫物語 みなしごハッチ」はフジテレビ系列で1970年4月~1971年12月まで放映されたが、続編の「昆虫物語 新みなしごハッチ」はNET系列で1974年4月~同年9月まで放映された。様々な困難に見舞われながらも旅を続け、妹のアーヤ、ママと再会を果たし新たな城で暮らし始めるが、間もなくして他の種族との争いにより国は滅び、母と死別。その母の遺言により妹アーヤとともに美しの丘を目指し新たな旅に出る。
星の炎に
歌唱:みすず児童合唱団
作詞:やなせたかし 作曲:いずみたく
1965年5月~1966年4月、フジテレビ系列で放映されたアニメーション「宇宙エース」主題歌。作曲は盟友いずみたく。故郷パールム星が氷に覆われて住めなくなり、パールム星人は宇宙船団を組み、新たな星を探す旅に出るが、途中、王子エースは船団からはぐれてしまい地球にたどりつく。エースはパールム星人の持つ特殊能力を活かし、地球の正義と平和のために活躍する。
アンパンマンのマーチ
歌唱:ドリーミング
作詞:やなせたかし 作曲:三木たかし
日本テレビ系アニメ「それいけ!アンパンマン」のオープニングテーマ。1988年の放映開始以来、毎回オープニングで流れる、国民的アニメの国民的主題歌。“いきるよろこび”“夢”“愛と勇気”を謳った歌詞は多くの日本人を励ましてきた。
生きてるパンをつくろう
歌唱:増岡弘(ジャムおじさん)、佐久間レイ(バタコさん)
作詞:やなせたかし 作曲:いずみたく
これもアンパンマンの中の人気曲。ジャムおじさん役の声優=増岡弘とバタコさん役の佐久間レイが歌唱。どんなに小さな虫でも、どんなに偉い人でも食べずには生きられない。裸で生きることができる動物でも食物なくしては生きられない。食の大切さが歌われており、戦時中ひもじい思いをした“やなせ”だからこそのメッセージがそこにある。
アンパンマンたいそう
歌唱:ドリーミング
作詞:やなせたかし、魚住勉 作曲:馬飼野康二
当初、1991年の劇場公開作品「ドキンちゃんのドキドキカレンダー」のエンディングで使用されたが、のちにテレビ版「それいけ!アンパンマン」のエンディングでも使用。愛と勇気と夢さえ忘れなければ、誰もがアンパンマンのような優しいヒーローになれるのだと歌っている。